喉の症状はご相談ください
喉は食べ物を食道や胃に送り込む役割と、肺に空気を届け、また言葉を発する役割を担っています。また、口から入ってきた細菌やウイルスの侵入も防いでいます。どの働きも、とても大切です。喉の痛み、咳や痰、喉の異物感、声がかすれる、喉のつまり感・違和感、呼吸がぜいぜいするなどの症状が現れましたら、ご相談ください。
こんな症状はご相談ください
- 喉が痛む
- 喉の腫れ
- 喉につまり感・違和感がある
- 口が乾く
- 口臭がある
- 咳が出る
- 呼吸がぜいぜいする
- 声がかすれる
- いびき、睡眠時の無呼吸がある
- 食事がむせる など
扁桃炎
扁桃炎とは口蓋垂(こうがいすい:のどちんこ)の左右に一個ずつある口蓋扁桃に、ウイルスや細菌による急性の炎症が起こる疾患です。
- 症状
- 風邪のような症状(高熱や寒気、頭痛、全身の倦怠感、関節痛)と強い咽頭痛が現れます。のどの奥を見ると、両脇が赤く腫れているのが認められます。
- 検査
- 症状と、扁桃の状態を観察します。血液検査では、白血球の増加や炎症の程度を知るためにCRP(C反応性たんぱく:炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するたんぱく質)などをチェックし、さらに脱水の状態をみるために尿検査をします。適切な抗生剤を投与するために、扁桃の細菌培養検査を行うこともあります。
- 治療
- ウイルス性の扁桃炎の場合は、風邪と同様の治療を行うことが一般的です。解熱剤を服用し、積極的にうがいをし、安静にすることで、通常は1週間程度で治ります。細菌性の扁桃炎の場合には、抗生剤の投与が一般的な治療で、症状をやわらげるために解熱薬や消炎鎮痛薬、うがい薬などを用います。溶連菌が原因の場合、内服薬をしっかり飲むことが重要です。
溶連菌感染症
溶連菌とは、正式には溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌で、主に喉に感染して、咽頭炎や扁桃炎、小さな紅い発疹を伴う猩紅熱(しょうこうねつ)などの病気を引き起こします。子供が「喉が痛い」と訴える場合、そのほとんどはウイルスや細菌に感染して喉に炎症を起こしている状態です。病原体の多くはウイルスですが、細菌では溶連菌が知られます。溶連菌感染症は子供に多い疾患ですが唾液などから感染し大人もかかることがあります。
- 症状
- 38〜39度くらいの発熱と喉の痛みが代表的です。しかし、3歳未満ではあまり熱が上がらないと言われます。そして、手足などに小さな紅い発疹が出たり、舌にイチゴのようなツブツブができたりします(イチゴ舌)。そのほかに頭痛、腹痛、首すじのリンパ節の腫れもみられます。急性期を過ぎると、発疹の後には落屑(らくせつ:皮むけ)が認められるようになります。風邪と違って、咳や鼻水はほとんどみられません。溶連菌急性糸球体腎炎になってしまう場合もありますので注意が必要です。症状がひどい場合は採血など行います。
- 検査
- 溶連菌に感染しているかどうかを検査するためには、溶血性連鎖球菌迅速診断検査を行います。
- 治療
- 溶連菌の感染とわかれば、熱や喉の痛みなどの症状をやわらげる薬のほかに、抗生物質が用いられます。確実に溶連菌を退治し、重大な合併症を引き起こさないために、症状が消えても抗生物質はしばらく飲み続けます。一部の抗生物質以外は10日間飲み続ける必要があると言われます。長い期間薬を飲み続けるのは、子供にはむずかしいものです。しかし、心臓弁膜に障害などを引き起こすリウマチ熱や、急性糸球体腎炎といった合併症につながることもありますので、決められた期間はきちんと服用する必要があります。
喉、声の異常
喉の使い過ぎによる一時的な喉や声の異常は心配無いのですが、そうした状態が数ヶ月も続く場合や、徐々に進行する場合、また反復して起こる場合などは、原因を特定するために、耳鼻咽喉科医にご相談ください。扁桃炎や咽喉頭炎、気管支炎など、よくみられる喉の病気から、声帯ポリープや悪性腫瘍、ぜんそく、アレルギーなどが関連しているケースもあります。脳・脳神経の変性疾患や腫瘍などで、喉の感覚異常・運動障害が生じていることもあります。とにかく原因は様々であり、場合によっては喉頭がんなど、重い病気のシグナルであったりもしますので、要注意です。
口腔乾燥症(口の乾き)
唾液の分泌が低下して口が異常に乾いた状態のことで、“ドライマウス”とも呼ばれます。
- 症状
- 軽度では主に口の中のネバネバ感、ヒリヒリ感が生じ、虫歯が発生し、歯垢を増加させ、口臭も強くなります。重度になると、唾液分泌量が低下し、口腔内の乾きが進行し、強い口臭、舌表面のひび割れ、痛みによる摂食障害、会話しづらいなどの障害も現れます。場合によっては、不眠をきたすこともあります。
- 検査
- 唾液量チェックなどを行います。血液検査を加えることもあります。
- 治療
- 漢方薬など内服加療を行いますが、生活指導や対症療法が中心となる場合があります。保湿性薬剤、保湿力の高い洗口液、保湿ジェルなどを用います。積極的に水分を補給するようにするのも、有効です。
アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱)
アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱)は、アデノウイルスのために起きる咽頭扁桃炎と結膜炎です。別名「プール熱」とも呼ばれ、こちらの俗称のほうがよく知られています。夏のプールで感染することが多かったため、この名が流布していますが、プールに入らなくても感染はします。
- 症状
- 咽頭扁桃炎だけの場合も、結膜炎だけの場合もあります。39~40度の高熱が、4~5日間くらい続き、扁桃が腫れ、強い喉の痛みが生じます。両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが出ることも少なくありません。頭痛、吐き気、腹痛、下痢などを伴うこともあります。
- 検査
- 喉や目やにからウイルスを検出する簡易診断キットがあります。綿棒で喉や目をこすって採取した検体を試薬に反応させれば、15分くらいで結果がわかります。
- 治療
- アデノウイルスの特効薬はありませんので、解熱鎮痛薬などによる対症療法が中心になります。高熱が続き、食欲が無いようなら、脱水状態を防ぐための水分補給が大切です。必要に応じて、抗生物質やステロイドが用いられることがあります。